「さくらと小さな白い壺」
投稿スレ:桜                    痰
注意:あくまでフィクションです。舌苔に絶対に真似しないように。

363 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 19:50
「さくらと小さな白い壺」

休み時間、さくらと知世は便所にいた。
「ふぅ〜、あ、知世ちゃん待っててくれたんだ」
「ええもちろん。一緒に来て、一緒に帰ってこそ『連れション』というものですわ」
涼しい笑顔で物凄い言葉を発する知世。さくらのこめかみに大きな汗が浮かぶ。

手洗い場では、たくさんの女子生徒が列を作っていた。
「どうしたのかしら、こんなに・・・」
「何か、みんな難しい顔してるよ」
最前列では、皆がエヘンエヘンと咳払いしている。
見てみると、痰を吐いていた。どろっとした、硬そうな粘液。
吐き終え、次の子が洗面台に立つと、同じように喉を鳴らし始めた。
「みんながみんな、痰を出すために並んでるなんて・・・」

364 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 19:58
とりあえず、最後列に並んで待つことにした。
知世も、さくらの隣の列に入った。
「どの順の子も、喉を悪くなさっているようですわね」
風邪が流行っているのだろうか。でも、クラスでそんな様子は見られなかった。
後ろにも人が並びだした。この子も痰かな、と思ったら・・・。

「え?あれ?」
すぐ後ろで咳いているのは、さっき前で痰を吐いていた子だった。
よく見ると、痰を出した子はみんな、また後ろへ回って行列に入っている。
「何だかおかしいですわ、さくらちゃ・・・んっ」
知世の調子もおかしくなった。さくらも、喉に異物感を覚えだした。
「(何でこんなにみんなして・・・それに知世ちゃんやわたしも・・・あれ?)」
さくらは、ふと気配を感じ取った。
それは、よく知っている、馴染みの深い感覚。

365 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:07
木之本家の一室に、電話の音が鳴り響いた。
「おう、わいや。何かあったんかさくら?」
「ケロちゃん、気配が・・・エヘッエヘッ、クロウカードの気配がする・・・エッエッ」
痰が絡まってうまく話せない。しかし、お蔭でケルベロスは事態を把握した。
「みんな喉の調子が悪なってるみたいやな。それは、『痰壺』のカードや」

・・・・・・。
何でそんなカードが・・・。さくらは、クロウに少し怒りを覚えた。
「そいつは、自分の体に痰を入れたがる。そのために、人間の喉に悪さして
 どんどん痰が出てくるようにしてしまうんや」
説明を聞けば聞くほど、そのカードに存在価値が見いだせなくなるが、
それはそれとして早くみんなを助けなければならない。
「で、どうすればいいの?」
「簡単や、カードをおなかいっぱいに、つまり痰をようけ入れたったら、
 自ら正体を現してくれるわ」

366 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:16
そんな方法でいいのか・・・さくらはホッとした。
これなら、何もしなくても放っておけば封印することが・・・。
「いけませんわ!エホッそんなことしてては、エエッみんなの喉が擦り切れてしまいます・・・」
そうか、この痰はカードが無理矢理出させてるもの。
そんなのを何度も何度も出させられてるのだから、喉への負担は大きい。
時間に任せていてはいけない。

「レリーズ・・・」
小声で唱え、こっそりとカードを出すと
「スリープ・・・」
周りのみんなを眠らせた。
「どうするのですか?」知世が心配そうに話しかけると
さくらは洗面台の前に立ち「とにかくおなかいっぱいにすればいいんだよ!」と
決心一杯に答えた。

367 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:25
知世は、出入り口を「清掃中」の立て札で遮断した。
さくらは中で、もう一枚のカードを解放する。
水の化身が洗面台の上に立ちはだかった。
「ウォーティさん、痰になって、排水口の中に入ってほしいの」
痰に化けさせ、水が流れ落ちる先へ大量の液体を注ぎこみ、
そこにいると思われる「痰壺」のカードを満腹にさせようという作戦だ。
しかし、ウォーティは首を横に振った。
「え・・・どうして・・・?」
ウォーティはあくまで水であり、何もなしにいきなり痰に化けることはできないと言う。

「困りましたわね・・・」
にわかに、さくらの表情がキッと引き締まった。もうこれしかない、という面持ちで構え、
ウォーティを自らの体へ導いた。
さくらは大きく口を開け、物凄い勢いでウォーティをまるまる飲み込む。
「さくらちゃん!」突然の行動に知世は困惑するだけ。

368 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:36
さくらの喉の中を、ウォーティが滑るように降りていく。
やがて、鮮やかなピンク色の粘膜の中に溶けていった。
洗面台ではさくらがいっぱいいっぱいに顔を傾け、
おもむろに口を大きく開けた。
喉の奥まで見えるように。

その奥では、尋常ではない量の痰が湧き出はじめた。
「痰壺」のカードがその力をさくら1人に向けるようになったことと、
体内に入ったウォーティが分泌を促したことが理由だ。
さくらは喉を開いた。
「アハッ」
目一杯大きく開いた口から、ずるずるずるっと粘液の塊が飛び出す。
塊は、まるで生き物のように流しの中を跳ね回り、排水口へと駆け落ちた。
口からは一つ、また一つと大粒の痰がせり出てくる。
当のさくらは、自信があったもののさすがに苦しくて小さく涙を浮かべた。

369 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:43
しばらく経つと、排水口から小さくて白い容器のような幻が浮かんできた。
「エヘッこれが、エエッカードの正体・・・」
さくらは面持ちを厳しくすると、杖を取って先を正体に向けた。
「汝のあるべき姿に戻れ!」

喉の異物感がなくなった。学校(?)に平和が戻った。
さあ、みんなを起こしてあげないと、と思ったその時
「大変ですわ、寝てるみなさんの顔色がよろしくありません!」
封印されるまで、カードは寝ているみんなの喉に痰を出し続けていたのだ。
何とかしないと、みんな窒息して死んでしまう。

「どうしよう・・・」
寝ているみんなの痰を取り出すには・・・一つ考えが浮かんだ。

370 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 20:54
「お願い、みんなを助けて・・・『痰壺』!」
再び現れたカード。
小さな白い壺は宙を軽く舞い、
・・・さくらの口に飛び込んだ。
「ほ、ほえ〜!?」

「『痰壺』のカードはな、一番近くにある容器の中で痰を待ち受けるんや。
 出したあと、さくらが大口開けたままでおったさかいに、容器やと思ったんやろ(笑」
知世がかけた電話の先で、ケルベロスが解説した。
さくらは半泣き笑いでうなだれた。

背に腹は代えられない。これでみんなを救うことにした。

371 名前:炉板通信◆hG4Chris :2005/08/24(水) 21:00
知世は眠っている子の口をこじ開け、さくらがその口の前に自分の口を近づける。
ちょっとするとその子の喉から痰が出てきて、さくらの口にすっぽり飛び込んだ。
「『痰壺』さんて、便利ですわね」
「便利っていうのかな・・・これ・・・」さくらは大粒の汗をぶらさげる。
「ほらほら、次の子いきますわよ」
嬉々として眠る女児の口に指をかける知世。
女児の痰で何だかおなかがいっぱいになってきたさくら。
また、さくらの口内にねっとり塩味の粘液が入ってくる。
「ほえ〜ん、おいしくないよ〜(泣」

(激臭、もとい劇終)



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